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歯列矯正のやり方

先のセミナーに参加なさった日本の医療関係者や薬剤担当者の皆さんが大変熱心に聞いてくださったことで、日本のジェネリック医薬品の夜明けに立ち会っているなという充実感はありました。
さあ、アメリカをはじめとする「ジェネリック医薬品先進国」の教訓を生かし、日本のジェネリック元年は始まろうとしているのです。 日本人のブランド志向は、「ブランド神話」といわれるほど定着しています。
昨年度の高級ブランド品『L』の日本市場での売上高は本国フランスを抜き、世界1となったことで話題になりました。 まさに破竹の勢いとはこのこと。
この不況下にありながら、高級ブランド店だけはオープン時に長蛇の列ができたと新聞は報じていました。 確かにこのブランドのバッグは質はいいのでしょう。

縫い目もきっちりして長持ちする。 でも、よくも他人と同じものをみんな持っていて飽きないなあ、というのが正直な気持ちです。
薬もしかり。 薬のブランド品とは、新薬の商品薬名のことです。
先発医薬品が市販されたときの名称のことです。 それがいったん刷り込まれた医師は、ブランド神話にマインドコントロールされたがごとく、絶対的な優良品、良薬に思えてしまう人も少なくありません。
患者さんももちろん、有名病院で、有名ドクターに、有名な製薬会社の有名な薬を処方してもらえば、「偉い先生に診てもらったから良くなるだろう」「テレビでも宣伝している大手の○○製薬の薬だ、これはいいよ」という安心感があり、ブランド薬剤崇拝に拍車をかけています。 中身は同じで安い後発品より、3倍も4倍も高いブランド薬剤をありがたがって使う、このブランドカがジェネリック医薬品の普及に大きく立ちはだかっているのです。
私は、アメリカの大学の医学部で長いこと教壇に立っていましたが、帰国してすぐ、K大学医学部に頼まれて2,3年次の医学生に「医学英語」を教え、1年次の医学生には「医学概論」などの基礎医学の講義をしてきました。 そこで、日米の医学生の違いを目の当たりにして惜然としたわけです。
アメリカでは医学生に対して大変厳しく、年間で2回欠席したらもう授業についていけないといわれるほどです。 その点、日本の医学生は「医学部に存在すること自体がブランドで、ただ黙って100年間ほとんど変わらない授業を受け、教科書を丸暗記して、よほどでない限り受かる国家試験に通れば医者になれる」、この違いはすごい。
根本的な違いは、教育期間それ自体にあります。 ご存じのように日本では6年ですが、アメリカでは8年かけて総合医学教育を行います。
そのなかで、生命倫理学、医学経済学、EBM(科学的な根拠に基づく最適な治療・医療のための実践)の制度などに時間を費やすのです。 早い話、死とは何か、人間の尊厳とは何か、神とは何かを勉強した学生が医師になろうというのですから、ただ丸暗記だけという日本の医学生とは、人間の幅、教養が違うというもの。
現在私は、K大学医学部で、3年次に「臨床医学英語」、5年次に「カルテの書き方」を教えているのですが、『カルテ』にも『臨床薬理学』『薬剤教育』においても日米の違いがありました。 たとえばカルテに関しては、アメリカの医学生は、完璧といわれるまで徹底して討論し、批判を受けチェックしていきます。

誰が読んでもわかるように、正確かつ簡潔、論理的に診断結果や治療の方針、根拠を記載するように訓練されるのです。 1方、日本のたいていの病院では、外来患者さんでも入院患者さんでも、問診や検診が終わった段階でさえカルテが完備されていません。
第1、日本の医学教育のなかに「カルテの書き方」をちゃんと教えている大学がほとんどない。 1995年にアメリカから帰国後、神戸の外国人専門病院の外来に勤務したときのことです。
ある日、インド人の豪商T氏が前の主治医の転勤で私のところに診療に来ました。 カルテを見ると、診察欄にただ「高血圧、糖尿病」と書かれ、再診時の経過ノートには約3年間の日時と処方した薬の数だけが記されていました。
私はアメリカで6年間の研修医時代、多くの教授、指導医から、診察方法やカルテの記入法をみっちり叩き込まれていましたから、非常にお粗末なカルテに唖然としました。 アメリカでは、初診の患者さんには詳しい問診をして、主訴過去5年の病歴、既往症家族の病歴薬歴社会歴を聞き、そのあとで触診、聴診などをして、全身診察所見治療プランを克明に書くのが1般的です。
再診では、経過報告も処方する薬も丁寧に記入する慣わしとなっています。 その痕跡もないT氏のカルテは、カルテとは呼びませんよ。
T氏は、診察の結果、高血圧だけではなく、高血圧性心臓病(左心室肥大)とそれによる糖尿病と診断しましたが、さらに「直腸と前立腺の触診」をすることを告げました。 すると彼は、「いままでの医者は誰もそんなことはしなかったのに、あなたはなぜそこまでするのですか」と不審がりました。
「アメリカでは、すべての内科医が初診時に直腸の触診をすることになっていますよ。 Tさんの年齢からいっても、最近、前立腺がんがしばしば発見されていますからお勧めします」と説明しました。
案の定、触診で前立腺の表面に不規則な硬い腫傷があることがわかったのです。 さっそく前立腺特異抗原テスト(血清PS)をした結果、前立腺がんの疑いが濃厚になったため、彼を近くのがんセンターに送ったのです。

私は自慢したくて言っているのではありません。 医師として当然のことをしたまでだといまでも思っています。
最近では、問診ひとつしない医師がいるそうですね。 すぐ最新機器の検査結果だけに頼って、自分で患者さんに視診、聴診、問診をしたがらない。
これでは、カルテに何を書いていいかわからないでしょうね。 ほら、日本の医者が他人にカルテを見せたがらないのは、実際他人が見てもわからないミミズ文字で薬のブランド名が綴られているだけだから、ではないでしょうか。
米国のフリーランス・リポーターがF奨学金を受け、T大学医学部で1年間、日本の最高医学教育を昼夜視察しました。 そして、帰米すると、すぐに東大の医学教育と医療制度を批判した論文を米国の医学雑誌に書いたのです。
彼が日本を去ってから長い年月が過ぎましたが、幼稚な医療過誤が頻発している現状をみると、日本の医学の改革が切望されています。 処方箋の書き方について、日本では100年前、T大学で医学を教えていたドイツ人の教授が持ち込んだものが始まりといわれています。

それが、ドイツの国内だけの書式で国際的な書き方ではなかった。 つまり、国際処方箋の記述法、略号を使っていないもので、いまでもその生きた化石のような記述で記入されているのです。
その後ドイツでは、さすがに世界では通用しないと反省し国際処方箋に変えましたが、日本では伝統を守ることが権威を誇示するものとばかりに、旧式な方法を変えていません。 でも、カルテや処方箋は、できるだけ誰にでも読みやすく、誤解のない、書きやすい記入方法である必要がありますそのために、欧米では、医療ミスを未然に防ぐため、薬の処方に略号をもちいていますが、日本でもその国際的に通用する略号を取り入れたらいいのではないかと思います。

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